■ごあいさつ

◀院長 島田雄平(獣医師・獣医学博士)
東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了
所属学会
獣医臨床病理学会(理事)
動物臨床免疫研究会(理事)
所属獣医師会 横浜市獣医師会
「人医療の科学」を、目の前のかけがえのない命へ届けるために。
私は東京大学大学院在学中、博士課程の研究として東京都老人総合研究所ポジトロン医学部門に所属し、PET(Positron Emission Tomography:陽電子放射断層撮影)を用いた動物の脳機能解析に取り組み、獣医学博士号を取得しました。
PETは、糖代謝や脳血流、神経レセプターなど、生体の「機能」を画像として評価する高度な核医学です。現在でこそ人医療においてがん(腫瘍)診断などに広く臨床応用されていますが、30年以上前、私は脳神経を中心に、心臓、眼科、虚血性疾患など多岐にわたる最先端研究に携わる機会をいただきました。
人医療の現場で受けた、大きな衝撃
この研究は獣医領域ではなく、人医療の最先端研究施設で行われたものです。
それまで私は東京大学附属家畜病院(現・動物医療センター)で心疾患、眼科疾患、脳神経疾患、腫瘍などの診療を行い、「獣医医療としては最先端の診療をしている」という自負を持っていました。しかし、人医療の研究現場に身を置いたとき、その科学的レベルの違いに大きな衝撃を受けました。
人医療では、病気を単に「形(形態)」として捉えるだけでなく、その背景にある分子や受容体、代謝、血流、免疫機構までを緻密に解析し、それを治療へ結びつけようとしていました。一方、当時の獣医領域には、そのような研究や診断技術はほとんど存在していませんでした。
そして30年以上が経過した現在でも、その格差は本質的には大きく変わっていません。
腫瘍診断において一部でPETが利用されるようになったものの、私たちが当時研究していた神経レセプターPETや脳血流PETは、今なお獣医臨床ではほとんど行われていません。 MRIについても同様です。当時私たちが取り組んでいた「機能的MRI(fMRI)」による神経線維描出(トラクトグラフィー)や脳血流解析は、人医療では確立された重要な診断技術ですが、獣医領域での臨床応用は極めて限られたままです。
獣医療の限界を超え、本当の医学を届ける「橋渡し」となる
獣医医療には、いまだに人の先端医療と比べて圧倒的な差が存在します。しかし、私は決して獣医療を否定したいわけではありません。
むしろ、この衝撃的な経験があったからこそ、**「人医療で培われた高度な科学的根拠(エビデンス)を、少しでも獣医医療へ橋渡ししたい」**という強い使命感を持つようになりました。
当院では、診断や治療の判断を「経験」や「慣習」だけに頼ることはいたしません。 できる限り明確なエビデンスに基づき、人医療で得られた最新の知見も積極的に取り入れながら、獣医領域の枠にとどまらない「本当の医学的診療」を行ってまいります。
- 椎間板ヘルニア・脊髄損傷に対する「P2X7受容体」を標的とした新規治療法
- 腫瘍や免疫疾患への「分子標的治療」と「遺伝子診断」
- 麻酔や手術のリスクを徹底的に避ける「独自の人工透析」
これら当院が提供する高度医療のすべてが、この「橋渡し」という考え方の延長線上にあります。現在も、大学時代の研究ネットワークや各大学の教授、研究者、製薬企業と密に連携しながら、新しい診断法・治療法の臨床応用を常に進めています。
あきらめない飼い主様へ、安心という光を
獣医療には、まだまだ多くの可能性が眠っています。
人医療では当たり前となっている確かな科学や先進技術を、一つでも多く動物医療へ届けたい。そして、他院で「治療法がない」と告げられ絶望している飼い主様に、「ここまで深く考え、科学的にアプローチしてくれる病院がある」と安心していただける存在でありたい。
それが、私が開院以来ブレることなく目指し続けている医療の姿です。
さくら台動物病院 院長 島田 雄平 (獣医師・獣医学博士)
